top of page

プロジェクトを成功させるために「絶対に」必要なこと—HMWを定義していますか?

更新日:5月12日

プロジェクトを成功させるために「絶対に」必要なこと—HMWを定義していますか?
あらゆるプロジェクトを成功に導く“How Might We”という考え方

一般に「絶対」という言葉は使ってはいけないと言われますが、今回はタイトルに使ってしまいました。それくらい私たちが重要かつ必須と考えているものが今回のテーマです。

「プロジェクト」と表現していますが、新規事業、システム開発、営業施策から小さな業務改善まで、あらゆる業務に共通する定理です。



うまくいくプロジェクトと、迷走していくプロジェクト。 両者の違いは、必ずしも「人材」や「リソース」だけではありません。

私たちが現場で数多くのプロジェクトを見てきた中で、 成功に近づくチームにはひとつの共通点があると感じています。

それは、プロジェクトの随所で「問い」が立てられ、チーム内で共有できていることです。


私たちは「問い」を「HMW」という形で定義します。HMWを起点にしたプロジェクトは、 チーム全体の思考や判断がぶれにくく、成果に向かってまっすぐ進んでいきます。

逆に、この問いがないままに始まったプロジェクトは「とりあえずやりたいこと」、

「あったらいいな」の積み上げになります

—–— それも、ほぼ確実に。



HMWとは何か?


Design Thinking

HMWとは、「How Might We(どうすれば、私たちは〜できるだろうか?)」の略です。

もともとはIDEOやスタンフォード大学d.schoolといったデザイン思考の実践現場で使われてきたフレームで、「課題を創造的な出発点に変換する問い」として位置づけられています。

IDEOのCEOティム・ブラウンは著書『デザイン思考が世界を変える』の中で、HMWを「問題を解決可能な出発点に変える問い」と定義しています。 また、d.schoolのデザイン思考プロセスでも、HMWは問題定義フェーズの終盤に置かれ、アイデア創出の出発点となる問いの橋渡しとして機能します。


こうしたフレームは、デザイン思考や新規事業開発に限られた話と思われがちですが、 実は、業務改善・営業施策・システム開発など、あらゆるプロジェクトに応用可能です。



なぜ、HMWがないとプロジェクトは迷走するのか?


私たちは現場で、こんな場面をよく目にします。

  • 「やりたいことはたくさん出たんだけど、優先順位が決まらない」

  • 「会議をする度に必要な要件が増えていく」

  • 「色々な部門の要望が積み上がってコストが膨れ上がった」


この背景には、解くべき問いが明文化されていないという構造があります。

HMWを定義せずに進んだプロジェクトは、目の前の課題を片っ端から対処する「対症療法型」になりがちです。 最終的には予算も時間も食いつぶしながら、価値が曖昧な「なんとなくの完成」に至ります。 そして「売れない」「使われない」「改善も難しい」ものが生み出されます。


実際、海外や国内の調査でも、プロジェクトの初期段階で「何を解決すべきか」の共有が不十分だった場合、要件のズレや投資の膨張につながりやすいことが報告されています。


たとえば、ソフトウェア開発の現場では「不完全または隠れた要件」がプロジェクトの失敗要因としてたびたび挙げられています。これは関係者の間で問いが言語化されないままプロジェクトが進むことで、認識のズレが蓄積していく典型的な例です。

また、日本の調査でも、要件定義の不備がシステム開発の失敗要因の上位にランクインするというデータがあります。


背景にあるのは、「目的のあいまいさ」や「ビジョンの不在」であり、それはまさにHMWがないことを指します。



HMWを定義することで何が変わるのか?


HMWは、チームや関係者全員が「私たちは何に答えようとしているのか?」を共有するための共通言語になります。

たとえば…


  • 営業支援システムの要件検討なら:「どうすれば、営業担当者がクロージングの場面で"あと一押し"できる情報を得られるだろうか?」

  • カスタマーサポートの業務改善なら:「どうすれば、問い合わせ対応でお客様の満足度を下げることなく、時間あたりの対応件数を増やすことができるだろうか?」


こうした問いが先にあるだけで、後に続くアイデア出しや要件の優先順位づけが格段に明快になります。



プロジェクトを成功に導く鍵は、「問い」の定義にある


プロジェクトを成功させるためにはメンバーの頑張りやリソースだけでなく、 「私たちは何を解決しようとしているのか?」という問いの明確さが欠かせません。

HMW(How Might We)というシンプルな問いは、 そのプロジェクトが何に取り組むべきか、なぜその施策が必要なのかを、 チーム全体で共有するための土台になります。

どんなに優れたアイデアも、明確な問いがなければ狙いを外し、 プロジェクトは迷走します。

だからこそ、最初にHMWを定義すること。 それが、プロジェクトを成功に導くための「絶対に」必要な一歩だと私たちは考えています。


私のブログでもHMWについて今後も触れていく予定です。さらに深く知りたい、一緒に考えたい方、ぜひ楽しみにお待ちください。


本記事に関するお問い合わせは contact@culturelabs.co または ryota.ogawa@culturelabs.co までお気軽にどうぞ。

Comments


bottom of page