Sketch サマー2024へようこそ。カルチャーラボ株式会社が主催するこのVIPディスカッションパーティでは、リーダーたちが一堂に会し、彼らのストーリーをフラットでインクルーシブな少人数環境で共有しアイデアをスパークさせます。今回は、CXOストーリーテラー(語り部)たちによる価値あるストーリーを題材とします。これらのプロフィールは、企業組織の複雑さを乗り越え、多様性とインクルージョン(包括性)を推進し、デジタルを含む、「人の変革力」を活用してきたリーダーたちの経験を垣間見ることができます。Sketchサマー 2024での刺激的な議論となるトピックの一部をぜひご覧ください。(Sketchサマー2024の詳細はこちらをクリック)
3週にわたってお届けする語り部たちのストーリー、今週はグローバリゼーションとAI時代における人材獲得とスキル開発をテーマにお送りします。
トップ人材のグローバル移動の現状と私の貢献
フォースバレー・コンシェルジュ社長 柴崎洋平
フォースバレー・コンシェルジュ社長である柴崎洋平氏は、200以上の国からの戦略的でデータドリブンな人材獲得を強調し、経営、リーダーシップ、およびデジタルリテラシーの持続的な重要性を訴える。テクノロジーの進歩に遅れずについていくために、社内の専門知識と継続的な学習の必要性を重要視する。柴崎氏は、自社がグローバルな求人検索プラットフォームの先駆者となり、迅速な適応と従業員の開発を優先して、グローバル化されたAI駆動の市場で成功する未来を展望している。
AIが存在する未来における雇用、働き方を変革するための重要な人間のスキル
カルチャーラボ株式会社 ファウンダー 嶋田文 嶋田文は、生成AIが雇用に与える影響についての見解を共有し、オフィス業務などのタスクが自動化されることで、ホワイトカラー労働者に大きな変化が予測されると述べています。嶋田は働き手がAIと協業するスキルを習得することの重要性を強調するとともに、共感力、クリティカルシンキング、リーダーシップなどの人間ならではのスキルがAI技術を補完する価値があると強調しています。また、彼女はAIの台頭が、社会が異なる種類の“はたらく”や人の役割を再評価する機会を提供すると考えています。ブルーカラーワークやアンペイドワーク(家事、ケアリングなど)がエンパワーされる可能性です。さらに女性が主に従事する役割の自動化リスクに関しては、トランジションが必要だと考えています。
グローバル化とAI時代における企業生存のための人材獲得と社内スキル開発のナビゲーション
フォースバレー・コンシェルジュ社長 柴崎洋平
Q:今日の競争激しい求人市場で、どのようにして優れた人材を引き付け、維持しますか?
A:優れた人材を引き付け、維持するための戦略的なアプローチには「世界には200以上の国と地域があり、どの国から人材を受け入れるかを科学的に検証・確定するプロセスが大事」と柴崎は語る。これは、最良の人材プールがどこにあり、どのような特定のスキルと属性が需要があるかを理解するために、データと分析を活用することを意味する。
魅力的な雇用主のブランドと肯定的な候補者体験を作り出す重要性は見逃せない。企業は、自社の文化、キャリア開発の機会、ユニークな福利厚生を示す必要がある。さらに、最初の連絡からオンボーディングまでのシームレスで魅力的な採用プロセスを提供することは、優れた人材を引き付け、維持するために不可欠である。
Q:将来の労働力の成功に不可欠な主要なスキルと能力は何だと思いますか?
「どんな時代も、経営(管理)やリーダーシップは普遍的に求められる能力だと思います。」と柴崎氏はいう。テクノロジーが進化し、産業が変化しても、これらの基本的なスキルは重要である。効果的なリーダーは、チームが目標に向かうやる気を起こさせ、方向を示し、新しい課題に適応することができる。
Q:急速に進化する技術的な景観に適応する際の課題は何ですか、また、これらの課題を克服する計画はありますか?
「自分の能力や資質がテクノロジーの進化にキャッチアップ出来ていないです」と告白する柴崎氏は 「その専門家を常に身内に抱えること」を強調する。専門知識を持ち込み、最新のトレンドやイノベーションに対応することで、戦略と運用が常に最先端に保たれることを示唆する。
また持続的な改善とイノベーションの文化を育成することは、組織の成功に不可欠。従業員に好奇心を持ち、職業的な成長に投資するよう奨励することが重要である。トレーニングプログラム、ワークショップ、学習リソースへのアクセスを提供することで、チームは技術の進歩に遅れを取らずに済む。
Q:将来の業務の中で人材獲得の役割がどのように進化するとお考えですか?
「世界には未だに、国を越えて仕事を当たり前のように探せるプラットフォームが存在しません。」と柴咲氏は説明する。「我々はそのデジタルPF(プラットフォーム)を世界で初めてリリースできる会社になると信じております」とこのデジタルプラットフォームが世界中の雇用主と求職者をシームレスに結びつける未来を見据えている。
※記者が回答をもとに記載
AIが存在する未来における雇用、働き方を変革するための重要な人間のスキル
カルチャーラボ株式会社 ファウンダー 嶋田文
Q: 生成AIが社会でますます実装される中で、雇用や働き方はどのように変化すると予想されますか?
A: 生成AIが普及するにつれて、ホワイトカラーの雇用動態に対する影響がブルーカラーワークよりも大きくなると予想されています。特に、データやアドミ作業に依存する情報産業や金融業界がこの変化の影響を最も受けると考えられます。興味深いことに、一部のホワイトカラーの仕事はAIとの協力関係に進化し、高度なスキルを持つ専門家の生産性と収入を向上させます。しかし、基本的なプログラミングや行政作業などのルーチンタスクは置き換えられる可能性があります。IBMビジネスバリュー研究所によれば、今後3年間で約40%の労働者が再スキル習得を必要とするかもしれません。日本企業は既に従来のメンバーシップ型モデルからロールベースモデルに移行し、より高い専門性と明確な責任範囲を持つことを求めています。
Q: AI技術を補完するために最も価値のある人間のスキルは何だと思いますか?
A: ここで「価値がある」というのは「雇用可能」と言う意味でしょうか。まず自分の雇用を確保するためには、AIとのインタラクションスキルを持って行くことが大切です。目的に合わせてプロンプトしたり、解釈したり、判断して成果を出す力です。さらにクリティカルシンキング、適応力や、人間らしいスキル、たとえば共感力、チームワーク、コミュニケーション、リーダーシップなどは、AIと共存して成功するために不可欠です。また、考えをリードし、独自の視点を形成して周囲を引っ張る能力も、AIの能力を効果的に補完することができると考えます。
Q: 社会におけるAIの登場にどのように関与していきますか?
A: カルチャーラボでは、業務の一環としてクライアント組織がAIを社会実装する支援をしています。よって私は強い社会的責任を感じています。AIの影響を考慮して、社会が人間の役割や“はたらく”ことの再評価をする機会があると信じています。
例えば、特に女性が主に従事する仕事がAIによって置き換えられる可能性を考えると、異なる種類の仕事の価値を再評価する必要があります。日本では、事務職の大多数は女性(北海道大学の研究による)であり、これは生成AIによって置き換えられる可能性のある職種です。また、35歳から44歳の働く女性の48.4%が非正規労働者であり、企業が効率性を理由にAIを導入してコストを削減する際に、職を失う可能性が高い状況にあります。表面的には、AIの波によって生存競争で再び女性が不利になるように見えます。
しかしいまAIの登場により、ケア労働、肉体労働、無償の家庭内労働(アンペイドワーク)の重要性について議論し、再評価する機会も開かれます。歴史的に見て、ホワイトカラーの仕事は、金銭的な面でも尊厳の面でも、サービス業、ケア労働、家庭内の無償労働、工場や建設などの肉体労働に比べて通常は高く評価されてきました。「家計を支える」という概念は、伝統的に家庭外での仕事を家庭内や家庭ケアの仕事よりも優位に立たせてきました。
しかし今日では、これらのケア労働や肉体労働は(まだ)AIによってフルに自動化されそうにありません。これが近い将来の人間に残された人間らしい「仕事」であるならば、高く評価されるべきは、スプレッドシートやプレゼンテーションスライドを作成するAIが出来る「仕事」の人ではなく、「子供を抱きしめる」「仕事」の人のような気がします。
私はこれらの対話の一部となり、社会におけるAIの実装に対してより包括的なアプローチを提唱することにコミットしています。
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